読書家のための偏見作品紹介

主に小説の紹介、書評で人生を設計したい

平沢進のSF的創作性を解体する

さて、テクノポップのパイオニアとして知られる平沢進について、別にその音楽性についてはさほど関心のない俺だけれども、その哲学的思索性に基づいた創作性には目を見張るものがある。 たとえば上の記述からは、どのような主張が読み取れるだろう。 まずは…

俺はきっと長い悪夢を見ている

ホテルで同行者の要望により、メメントを見る。 スリップストリーム(非主流文学)を代表する映画であり、俺の大好きな映画作品のひとつである。 メメントを見た人間なら、かならず思うだろう、「メモにとらなきゃ分からん」 そうして2度目を見て、メモを時…

9月の札幌

どういうわけか、15日から札幌に来ている。 離陸する関空に向かっていた時点で忘れていることに気付いたのはパンツと靴下だけだったが、着いてみて上着がないと困ることが予想できなかったのは、俺の想像力が欠如していたせいである。 ここにきて、自分がこ…

なぜ反戦映画は嫌われるのか

タリバンに関する嫌なニュースが続くけれども、アメリカ軍が戻らない以上、タリバンを追い出すことは事実上不可能だろう。 この情勢に伴って、三年前に、TIME誌のタリバン特集で話題となった女性の写真が注目を浴びている。 タリバンによる強制結婚に逆らっ…

芸術を評価する人間は、リーダーとして大成する

着岸したのに上陸できない虚無な時間が続く。 しかし陸がすぐ近くにあるというのは、ある程度のストレス緩和にはなるらしい。 今日は少し気分がいいから。 ダイヤモンドプリンセス号の乗客みたいな気分を味わっている俺たちに、午前は有難い話を聞く時間が与…

男が化粧をする時代

船で生活してるのに、すげぇ厚化粧の女子を見つけてしまったので、暇つぶしながら書きます。 ネットの接続は悪いし、キーボードじゃないから打つの遅いし、ホントにブログなんか船の中でやるもんじゃない。 で、厚化粧の女を見てよく思うのは、そこまでして…

どうして相対主義がダメかって話

どうにも頭のお堅い老害というのが、しばしば武士のような献身的態度よりも、ただ気の違ったリベラル思想家だったりするのは、どうしてなんだろうと考えたことは、あるようでないのではないでしょうか。 彼らのような老害に対抗するために、わたしたち若者は…

もののけ姫は本当に女の物語なのか

前回の続き。 ようやく「もののけ姫」をキャラクターに注目して解剖していくよ。 まずは一つ確認しておこう。この物語の主人公は誰か。 アシタカか。もののけ姫(サン)か。 無論、答えはサンだ。 タイトルだってそうなってるじゃない。 「『タイトルに入っ…

今こそ神秘主義の奥深さを知ろう

金曜ロードショーのもののけ姫を見る。 別に地上波放送じゃなくても、年に2・3回はDVDで見てるくらいに好きなんだが、あれをまともに議論してくれる人といまだ出会ったことがない。 これだけ人気な作品なのにちょっと悲しい、と思う時期はかなり前に過ぎ去っ…

終戦日と原爆のあれこれ

8月15日で終戦の日一色ムードなので、とりあえず終戦に触れておく。 台湾人の実業家・許文龍は太平洋戦争について、 「日本が勝っていれば天下太平だった」 と語っていたが、まったく頷くことはしなくとも、今より平和だったのは間違いあるまい。 もとい、平…

読書家が一度は直面するであろう、あの厄介な問いに対する答え

実は何の本を読むべきかっていうのは、本を探す上で本当に大変な問題だったりする。 しかし現代文の教科書、とくに高校の教科書なんかは本当によくできてて、高1には羅生門、高2にはこころ、高3には舞姫が用意されてるのは、それぞれの年齢に適しているわ…

<映画>事故とカーチェイスとカーセックスの話

最寄駅からの都合上、長堀橋駅で降りると、シネマート心斎橋までは徒歩10分。 わざわざショッピングモールの中にある、それも3つのスクリーンしかない小さな映画館に行ったのは、そこくらいでしか上映してなかったからだ。 「クラッシュ」観てきました。 限…

5000円札としての社会的価値

樋口一葉の著作を読んだ事がある人間が、今の時代に果たしてどれくらいいるんだろう? にごりえ・たけくらべ を読了。 正直、意味がわからない。 あまりに言葉が、とくに日本語という言語が変化しすぎていて、その感覚が一向に理解できない。 要するに、言葉…

<シャニマス>サポート摩美々が強すぎる。

いつ来るかも知れない<期間限定>円香のために貯めてたジュエルを解放する。 理由は当然、今回登場した<期間限定>ガチャの誘惑に負けたから。 円香じゃなかったけど、強すぎないか、これ。5,16倍とか微妙な数値に気を取られていて、遅れて数値の大きさに…

Apr ,2020 読書日記まとめ

コロナで外出自粛ばかりが促進され、ようやく人間の本質が垣間見えるというか、つまり家の中でひとりで何ができるかが人生の本質である。 正直この時期は、いわゆる人間の成熟度という意味で、大きな差が生まれているんだろう。 少なくとも携帯いじって一日…

こんなときこそ嬉しいニュース

どうせ明日に1ヶ月のまとめを書くので、ものすごくちょっとしたことを書く。 コロナの影響で、もともとが在宅好きの人間にとってはパラダイスな状況と、日本、世界、あるいは人類全体の悲報が飛び交っている。 しかしそれで朗報ばかりが目につくのが、俺み…

ネタがないから「パンデミック」

いよいよネタがなくなってきた。 さすがブログのセンスがないだけあるなと自問自答。 しゃーねーから本屋と同じネタをやる。 つまり、今は外出自粛もあって、パンデミック小説が熱いという話。 元祖「パンデミック」 有名パンデミック作品リスト 1、ペスト …

新刊ががんばってる

4月16日。津原泰水の新刊の発売日だった。 新曲のCDは決まって水曜日に出るが、小説にそんな縛りはないから、今日のような木曜日に出てもいい。 まあ小説という媒体の自由さは、そんなところにも表れているわけである。 しかし緊急事態宣言の中で新作を出…

<作品紹介>心配せずとも、いつの時代も美術家はいる「乙嫁語り」

媒体の魅力についてはよく話しているように思う。 媒体の特性とクリエイターの作風は直結しているから。 たとえば小説なら、これは限りなく自由な媒体だけれど、いわゆる文学に忠実なものと、逆にあえて逆らうもの、どちらが好みか。 「どちらも好き」は無し…

<レビュー>富豪というわりに常識的な筒井

富豪刑事の1話を見る。 原作を読んでいるせいか、テレビにかじりつくほどの期待はしておらず、気がつけば放映から2日が経過していて、録画を見た情けなさ。 なんせノイタミナであったことすら知らなかったのだ。まあ見ただけよしとしよう。 原作との比較 …

<レビュー>体調不良を乗り越える糧の愛情

ここ数日、40度の高熱にさいなまれた。 昨日は緊急事態宣言も発令され、咳が出る、あるいは高熱なんかですぐに白い目で見られる時期であるから、俺自身も少しばかりはひやひやしたものの、コロナではないという自信はあった。 コロナの影響でバイトもなく…

<作家紹介>日本に一人しかいないと強く感じさせる作家「山尾悠子」

しつこいようだが、村上龍のエッセイが終わったことに対する気持ちの整理が、未だにできていないようだ。 ようだ、というのは、つまり俺自身は過ぎたことだと思っているはずなのに、俺という脳の思考はそうなっていないからだ。 「俺自身」と「俺の思考」を…

Mar, 2020 読書日記まとめ

春休みも終わりかと思いきや、延長するなんて奇跡が起きちまったもので、遠足の前日の小学生のようにテンションが上がっちまった俺は、毎日夜も眠れない。 夜眠れないとき、何しよう。 そうだ、本を読もう。 そういうときにうってつけの本は、共通の前提条件…

「人ではないものが乗っているから無人戦闘機」のあれがアニメ化

86(エイティシックス)がアニメ化だとよ。 まあするとは思っていたが、ようやくか。 俺は1巻しか読んでいないが、ぶっちゃけすごいおもしろかったのを憶えていて、そして布教と本棚の整理をかねてその1巻を友人にあげてしまったというのもあって、なん…

シスターキャラの意外にして盤石な人気

最近、炎炎の消防隊というアニメを見た。 なんか、びっくりするくらいの定番バトルもの少年漫画って感じだったのだが、意外にも見入ってしまった。 理由としてひとつわかりやすいのは、つまりアニメがすごいのだから、演出効果だろう。 けれど監督は聞いたこ…

いろいろ読んだ2

存外たくさん本を読めたので、ここで久しぶりに紹介します。 作品履歴 1,すべての男は消耗品である。最終巻 2、あなたの人生の物語 3,タイタンのゲーム・プレーヤー 4,ひらいて まとめ 作品履歴 1,すべての男は消耗品である。最終巻 すべての男は消…

休載

また忙しくなるのでしばらく書けません。 また本だけたくさん読んで帰ってきます。 次は少なくとも20日以降になります。 コロナには気をつけてね。

<書籍紹介・レビュー>フランス版・罪と罰

いい本を読んだ。 というか見つけた。 某歴史小説家が宣伝していたので購入してみたが、まだこんな本が眠っていたとは。 紹介とレビューと、いろいろしたい衝動に駆られたのだが、そういうことをしたくなる衝動に駆られるのは、それだけこの本が思弁的だから…

<ふりかえり>第2の人生「どうぶつの森シリーズ」

来るべき3月20日。 現れるは1本のゲームソフト。 www.nintendo.co.jp 小学生のころから関わっているのだが、いやはや前作から8年もたっていたという事実に困惑。 年を重ねると物事を長い目でとらえる傾向が強まってくるので、どうにも歴史的に振り返っ…

<作家紹介>元祖ハードSF作家「アーサー・C・クラーク」

某政党が言い張るように、われわれ民衆のあいだでは、にっくき存在として見なされやすいNHKさま。 しかし国営放送局だけあって、取り扱うジャンルについては浅いですが広いです。 読書家のみなさんは「100分de名著」というコーナーをご存知でしょうか。 …