読書家のための偏見作品紹介

主に小説の紹介、書評で人生を設計したい

2021-01-01から1年間の記事一覧

平沢進のSF的創作性を解体する

さて、テクノポップのパイオニアとして知られる平沢進について、別にその音楽性についてはさほど関心のない俺だけれども、その哲学的思索性に基づいた創作性には目を見張るものがある。 たとえば上の記述からは、どのような主張が読み取れるだろう。 まずは…

俺はきっと長い悪夢を見ている

ホテルで同行者の要望により、メメントを見る。 スリップストリーム(非主流文学)を代表する映画であり、俺の大好きな映画作品のひとつである。 メメントを見た人間なら、かならず思うだろう、「メモにとらなきゃ分からん」 そうして2度目を見て、メモを時…

9月の札幌

どういうわけか、15日から札幌に来ている。 離陸する関空に向かっていた時点で忘れていることに気付いたのはパンツと靴下だけだったが、着いてみて上着がないと困ることが予想できなかったのは、俺の想像力が欠如していたせいである。 ここにきて、自分がこ…

なぜ反戦映画は嫌われるのか

タリバンに関する嫌なニュースが続くけれども、アメリカ軍が戻らない以上、タリバンを追い出すことは事実上不可能だろう。 この情勢に伴って、三年前に、TIME誌のタリバン特集で話題となった女性の写真が注目を浴びている。 タリバンによる強制結婚に逆らっ…

芸術を評価する人間は、リーダーとして大成する

着岸したのに上陸できない虚無な時間が続く。 しかし陸がすぐ近くにあるというのは、ある程度のストレス緩和にはなるらしい。 今日は少し気分がいいから。 ダイヤモンドプリンセス号の乗客みたいな気分を味わっている俺たちに、午前は有難い話を聞く時間が与…

男が化粧をする時代

船で生活してるのに、すげぇ厚化粧の女子を見つけてしまったので、暇つぶしながら書きます。 ネットの接続は悪いし、キーボードじゃないから打つの遅いし、ホントにブログなんか船の中でやるもんじゃない。 で、厚化粧の女を見てよく思うのは、そこまでして…

どうして相対主義がダメかって話

どうにも頭のお堅い老害というのが、しばしば武士のような献身的態度よりも、ただ気の違ったリベラル思想家だったりするのは、どうしてなんだろうと考えたことは、あるようでないのではないでしょうか。 彼らのような老害に対抗するために、わたしたち若者は…

もののけ姫は本当に女の物語なのか

前回の続き。 ようやく「もののけ姫」をキャラクターに注目して解剖していくよ。 まずは一つ確認しておこう。この物語の主人公は誰か。 アシタカか。もののけ姫(サン)か。 無論、答えはサンだ。 タイトルだってそうなってるじゃない。 「『タイトルに入っ…

今こそ神秘主義の奥深さを知ろう

金曜ロードショーのもののけ姫を見る。 別に地上波放送じゃなくても、年に2・3回はDVDで見てるくらいに好きなんだが、あれをまともに議論してくれる人といまだ出会ったことがない。 これだけ人気な作品なのにちょっと悲しい、と思う時期はかなり前に過ぎ去っ…

終戦日と原爆のあれこれ

8月15日で終戦の日一色ムードなので、とりあえず終戦に触れておく。 台湾人の実業家・許文龍は太平洋戦争について、 「日本が勝っていれば天下太平だった」 と語っていたが、まったく頷くことはしなくとも、今より平和だったのは間違いあるまい。 もとい、平…

読書家が一度は直面するであろう、あの厄介な問いに対する答え

実は何の本を読むべきかっていうのは、本を探す上で本当に大変な問題だったりする。 しかし現代文の教科書、とくに高校の教科書なんかは本当によくできてて、高1には羅生門、高2にはこころ、高3には舞姫が用意されてるのは、それぞれの年齢に適しているわ…

<映画>事故とカーチェイスとカーセックスの話

最寄駅からの都合上、長堀橋駅で降りると、シネマート心斎橋までは徒歩10分。 わざわざショッピングモールの中にある、それも3つのスクリーンしかない小さな映画館に行ったのは、そこくらいでしか上映してなかったからだ。 「クラッシュ」観てきました。 限…

5000円札としての社会的価値

樋口一葉の著作を読んだ事がある人間が、今の時代に果たしてどれくらいいるんだろう? にごりえ・たけくらべ を読了。 正直、意味がわからない。 あまりに言葉が、とくに日本語という言語が変化しすぎていて、その感覚が一向に理解できない。 要するに、言葉…