<レビュー>体調不良を乗り越える糧の愛情
ここ数日、40度の高熱にさいなまれた。
昨日は緊急事態宣言も発令され、咳が出る、あるいは高熱なんかですぐに白い目で見られる時期であるから、俺自身も少しばかりはひやひやしたものの、コロナではないという自信はあった。
コロナの影響でバイトもなくなり、完全な引きこもりになった俺が、コロナになどかかるわけがないのだ。
案の定、コロナではなかったが、布団に突っ伏した数日間の手持無沙汰を、アマプラで乗り切ろうとした。
そこでかねてから見てみたいと思っていた映画を引き出した。
日本にも莫大な影響を与えた作品、「ロリータ」である。
ロリータ・コンプレックスなどの言葉で知られるこの単語は、本来はひとりの少女のあだ名である。
その少女こそ、この作品のヒロインのドローレス・ヘイズであり、このタイトルのロリータにちなんだものだ。
レビューを書く前に、この作品の大きすぎる意義を理解するには事前情報がたくさん必要なので、周辺情報もこめて手順に説明することにする。
作品概要
「ロリータ」という単語は、日本では「幼女」といった意味で用いられることが多いが、実際は幼女というより少女に近い。
しかしロリコンが、幼女や少女を好む成人男性を指すことは的を射ている。
つまりロリータは少女を愛した成人男性の恋愛小説なのだ。
以下に書くあらすじは、この原作である、小説「ロリータ」についてを書く。
あらすじ
少女性愛者ハンバート・ハンバートと、少女のドローレス・ヘイズとの恋愛を描いた物語。
小説自体はハンバートの手記の形式で書かれ、すべては述懐された過去という設定。
ハンバートは学生時代に年の近い女の子に恋をするが、その子は病気で若くして死んでしまう。
以来ハンバートは、その子よりも愛らしい人間に出会うことができず、ろくに恋愛経験を持たないまま40近い年齢になる。
そんなときに出会った12歳の少女、ドローレス・ヘイズに一目ぼれしたハンバートは、彼女に近づこうと、彼女の母親である未亡人のシャーロット・ヘイズと結婚する。
その後シャーロットが不慮の事故で死亡。ハンバートはロリータを独り占めできると考え、シャーロットが死んだことをロリータには教えず、「これから行くところで待っている」と説明して国中を連れまわす。
しかし途中で母親の死がばれてしまい、関係が悪化。さらにはハンバートとの恋心に気付くも断固拒否し、最終的には行方をくらましてしまう。
以下は実際に読んでください。
個人的にはここからがとても面白いので。
そしてこのロリータを有名にした作品は大きく分けて3つあるので、それを順番に書きます。
1、小説「ロリータ」
1955年に発表され、初版はパリで出版。
作者はロシア生まれのアメリカ人作家、ウラジーミル・ナボコフ。
この時点ですでに、戦争動乱もあってかいろいろと複雑なのだが、ベストセラーとなったのは3年後に出版されたアメリカ。
いわゆる「ロリータ」の原作であり、アメリカの古典文学として知られる。
衝撃的な内容のほかに、言葉遊びを入れ込んだ文体が注目されたそうだが、原文を読んでいない自分にはさっぱり。
2、映画「ロリータ」(1)
1962年に公開。
監督はかの有名なスタンリー・キューブリック。
自分はこれで知ったし、これから見た。
しかし内容は、原作に全然従っていない。
だから自分はこれを見終わった後、原作を読み、その内容の違いには驚いたが、どっちも面白かった。
3、映画「ロリータ」(2)
1997年公開。
監督は「危険な情事」で知られる、エイドリアン・ライン。
これが今回見たやつ。
ストーリーはわずかな脚色こそあれ、かなり忠実。
詳しくはレビューに書きます。
レビュー
まずロリータ役の子、ドミニク・スウェインが17歳ってことに驚き。
正直、ロリータの12歳から16歳までの成長が、見た目ではまったく見られないのは仕方ないが(映画を4年かけて撮っているわけではないので)、それでも気にはなってしまう。
それに外国人って年齢が高めに見えるから、ロリコンとしての楽しみはなかった。
で、ベッドシーンが生々しいんだよな。
小説のベッドシーンは結構好きだが、それは想像による楽しみであって、自分で営みを想像するから楽しいのだ。
想像することが好きな人は、つまりは読書家は、詳しい説明がある小説を好まない。
「Aは右手を突き出し、Bの頬にこぶしをけしかけ、Bは打撃的な走馬灯のさなか、うつろな表情で倒れた」
とか言われてもなえるだけ。普通に、
「AはBに強力な殴打を決めて、Bを崩し伏した」
ってだけでいいだろと、つまりそういうこと。
ゆえに俺は映像を好みません。
情報量が多すぎるので。
過激なものはなおさら。
ロリータとハンバートが無駄にエロく思える。
なのにうろたえてる分、AVよりも見てられない。
あ、俺はAVは苦手です。
エッチする前に歯の矯正を取るところとか、あれだけでなんでエロイんだろうね。
やっぱ小説ばっか読んでると、ああいうのだけでも参っちゃうのかね。
なんせ女優の表情ですよ。あんな顔されちゃ、勃起の1つや2つ、簡単に起こるんじゃないの。
ちなみに俺は、ロリータではたちませんでした。熱のおかげだろうけど。
評価
シナリオ | |
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おすすめ度 | |
普通に面白かった。のめりこんだ。
エンタメじゃない、なんなら文学ですらある本作が映画でも面白いなんて、この作品はどれだけのポテンシャルを秘めているんだろうとぞっとする。
やっぱキャラのぶっとび感が好き。
これは日本人がよく楽しめるタイプ。
あとはストーリーも純粋に面白い。
この映画のストーリーは小説に忠実だから、小説でも面白いということになるけど、こっちの方がわくわくして見れた気が。
小説読んだのは3年も前だから、あんまりあてにはならない。
しかし原作を読み返したくなる。
- 作者:ウラジーミル ナボコフ
- 発売日: 2006/10/30
- メディア: 文庫
原文で読めたらもっと楽しいんだろうなとつくづく思う。
久しぶりの映画レビューでした。