読書家のための偏見作品紹介

主に小説の紹介、書評で人生を設計したい

Mar, 2020 読書日記まとめ

春休みも終わりかと思いきや、延長するなんて奇跡が起きちまったもので、遠足の前日の小学生のようにテンションが上がっちまった俺は、毎日夜も眠れない。



夜眠れないとき、何しよう。



そうだ、本を読もう。



そういうときにうってつけの本は、共通の前提条件として、

本屋で入手しやすい作家

ページ数の少ない作品が多い作家

であることが挙げられる。





そんな中で、俺の思うジャンル別おすすめは、



難しくて眠たくなっちゃう系 → 円城塔トルストイ

文章の読む気が起きない系  → 村上龍、ギブスン

つまらなすぎて眠たくなる系  → 太宰治カフカ



といったところ。





寝る前に読むので一番よくないのは、

分厚くて、表現が過激で濃厚で、でも文章は読みやすくて、それでいてエンタメ的に面白くてページが止まらなくなっちまう系 


→ 伊藤計劃半村良ウエルベック、パラニューク、ベスター、バラード、ホーガン(以下略)。





本は健康的な睡眠薬にもなるぞ。



では今月のランキングだ。

1,ある島の可能性

ある島の可能性 (河出文庫)

ある島の可能性 (河出文庫)


こいつは天才だ。

知ってたけど。

まあファンだし。

言うまでもないし。

全部好き。







2,地図と領土

地図と領土 (ちくま文庫)

地図と領土 (ちくま文庫)



てかウエルベックって何に影響受けたのかねえ。



SF的なのも、エンタメ的なのも、私小説的なのも書けるし、というか、ほぼすべてのジャンルを包括した本書くし。



それでいてオリジナリティにあふれてて、その個性で売れてるし。



俺は一生ついていく。






3,すべての男は消耗品である。最終巻

エッセイだけど、ランキングにいれてやってくれ。



だって最終巻なんだぜ。



俺は泣き崩れちまうよ。



いままで、人生の糧をありがとう。



俺、村上龍の小説はまったく読む気がしないけど(初めて読んだときにつまらなすぎたため)、エッセイは大好きだったよ。



ちなみにこれ、文庫版が8日後(4月8日)に出ます。



最後くらい、買ってみたらどうよ。





4,シンドローム

先月のイラハイで感銘を受け、さあこいつの本をすべて読んでやろうと意気込んでいたところ、なんとほとんどの本が、文庫化すらされていない。



単行本を探すにしても、20軒以上まわったブックオフでは1冊もおいておらず、ネット通販でも値段が高いならまだしも、売ってすらいないものまであるのだ。



ひさしぶりに腕が鳴るぜ、俺は絶対すべての作品を集めてやるぜ、と思っていた矢先、作者の中では一応、最新の作品を本屋で新品で入手することに成功した。



ここまででも読むのに一苦労だったのだから、評価に加えたいくらい。



で、正直な感想を言うと、労力に見合ったほどのものではなかったなあ。



いや、面白かったのだが、おもしろいというより、この人は本当に文章がうまい。



読みたくなる文章を書く。



文章だけで作品を評価しがちな俺にはいいのだが、世間ではやはり、おもしろさが重視されるのかなあ。



みんな買ってやってくれ、この人の作品。





5,フロリクス8から来た友人

ディックの去年の新刊。

あらため、新訳、新版。



前の記事で3月の新刊を紹介したが、少なくともそれよりはこっちの方がおもしろかった。



最近、ディックの並んでいる棚の前に立ちすぎて、本のカバーは真っ黒なのがオーソドックスなのでは、と錯誤し始めている。



次も楽しみだ。





まとめ

ウエルベックの作品はこれで、文庫はすべて読破した。



最新刊の、単行本の「セロトニンを、金に余裕ができたら買おうと思っている。

セロトニン

セロトニン



しかし先月の予見どおり「イラハイ」にはかなわない。



いや、「ある島の可能性」はある意味で俺のオールタイムベストかもしれない。



少なくとも作品への熱中度では、現ベストの「ファイト・クラブ」に匹敵するからだ。



あとは単に、作品の完成度の問題。



俺が個人的に好きなだけで、作品単体の評価は「高い」くらいだもんね。



以上、俺の春休み読書日記でした。



来月からは「つまらない授業の時間を読書に有効活用したの巻」になるだろう。



まだ春休みは終わらないけどな。