読書家のための偏見作品紹介

主に小説の紹介、書評で人生を設計したい

いろいろ読んだ

旅行と用事が相まってパンパンに膨らんだスケジュールを終えた。



忙しすぎてまったく書けていなかったブログを更新しようと思う。



ひとまず移動中に読んだ本をまとめるだけで濃厚な記事が書けそうだ。


夜来たる

内容(「BOOK」データベースより)
六つの太陽が空をめぐる惑星。この世界では一瞬たりと光が途絶えたことがなく、人々は闇というものを知らずに文明を謳歌してきた。だが若き天文学者が思いもよらない事実を察知した。この世界に二千年に一度の夜がくる。誰も体験したことのない恐るべき闇夜が。宗教団体が勃興し、ジャーナリストが嘲笑するなか、刻々とその時は迫る。巨匠のベスト1短編が盟友との共作で長編化。


シナリオ 
構成 
文章 
キャラクター 
世界観 
総合評価 
おすすめ度 


SF史に残るアシモフの傑作短編「夜来たる」を、シルヴァーバーグが長編化した伝説的一冊。

その短編をあえて読まず、こちらを先に読むと決めていたので純粋に楽しめた(特にオチ)。

短編を知っている古参の読者からは、長編にする意味が分からないと不評を買ったようだが、未読者なら楽しめるだろうという印象。





スキズマトリックス

内容(「BOOK」データベースより)
〈環月軌道コロニー〉の住民リンジーは、遺伝子工学を用いて肉体を変形させる〈工作者〉グループの活発なメンバーだった。彼らの目的は、機械の力を援用して延命をはかる〈機械主義者〉の支配をうち破ることにある。だがクーデターは失敗に終り、リンジーはコロニー追放処分にあってしまった。広大な太陽系に踏みだした彼を待っていたのは、それぞれ独自の文化を築きあげ、さらに発展していこうとする多種多様な人類の姿だった!サイバーパンクSFの旗頭としてギブスンと並び称される俊英が、壮大で独創的な未来史を背景に、人類の発展と進化を謳いあげた話題の傑作長篇。


シナリオ 
構成 
文章 
キャラクター 
世界観 
総合評価 
おすすめ度 

ギブスンと並んでサイバーパンク運動を牽引したスターリングの代表作。

復刊したというので発売日に店頭に並んで買うほどに楽しみにしていたのだが、いやいや面白かったのだが、そこまで自分にささる話ではなかった。

オリジナルの歴史を踏まえているのは最高なのだが、とりわけ歴史が好きな自分には単純すぎるように思われた。

親日家のスターリングだけあって、主人公が歌舞伎の代表をつとめていたり、コロニーの公用語が日本語(敬語がなくなって簡単になったという設定)というのが、やはり日本人には好感が持てる。




安達としまむら

安達としまむら (電撃文庫)

安達としまむら (電撃文庫)

内容(「BOOK」データベースより)
体育館の二階。ここが私たちのお決まりの場所だ。今は授業中。当然、こんなとこで授業なんかやっていない。ここで、私としまむらは友達になった。好きなテレビ番組や料理のことを話したり、たまに卓球したり。友情なんてものを育んだ。頭を壁に当てたまま、私は小さく息を吐く。なんだろうこの気持ち。昨日、しまむらとキスをする夢を見た。別に私はそういうあれじゃないのだ。しまむらだってきっと違う。念を押すようだけど、私はそういうあれじゃない。ただ,しまむらが友達という言葉を聞いて、私を最初に思い浮かべてほしい。ただ、それだけ。日常を過ごす、女子高生な私としまむら。その関係が、少しだけ変わる日。


シナリオ 
構成 
文章 
キャラクター 
世界観 
総合評価 
おすすめ度 

アニメ化するというので読んだ。百合好きだから好き。それだけ。

まあ、百合好きには百合を深く語らせるなということだ。




カラマーゾフの兄弟

内容(「BOOK」データベースより)
物欲の権化のような父フョードル・カラマーゾフの血を、それぞれ相異なりながらも色濃く引いた三人の兄弟。放蕩無頼な情熱漢ドミートリイ、冷徹な知性人イワン、敬虔な修道者で物語の主人公であるアリョーシャ。そして、フョードルの私生児と噂されるスメルジャコフ。これらの人物の交錯が作り出す愛憎の地獄図絵の中に、神と人間という根本問題を据え置いた世界文学屈指の名作。


シナリオ 
構成 
文章 
キャラクター 
世界観 
総合評価 
おすすめ度 

ドストエフスキーで読んでなかった長編がこれだけだったので。

さすが世界的名著。ミステリーと文学の融合。

個人的にはドストエフスキーの三人称が、しかし独特過ぎて三人称と呼んでいいのか悩むのだが、好きな書き方であります。

他にも山田正紀なんかも似たような三人称を書くのだが、調べたところ山田正紀も学生時代にドストエフスキーを読んでいたようだ。

この小説は文章にも影響大ということですね。




スチームガール

スチーム・ガール (創元SF文庫)

スチーム・ガール (創元SF文庫)

内容紹介
飛行船が行き交い、甲冑型の蒸気機械が闊歩する港町ラピッド・シティ。ゴールドラッシュに沸くこの町で、カレンは高級娼館で働いている。そこへある晩、少女プリヤが逃げこんできた。プリヤに一目ぼれしたカレンは彼女を守ろうとするが、立ちはだかるのは怪しげな機械を操る町の有力者。さらには娼婦を狙う連続殺人鬼の影も……。カレンは蒸気駆動の甲冑機械を身にまとって立ち向かう! ヒューゴー賞作家が放つ傑作冒険SF。訳者あとがき=赤尾秀子


シナリオ 
構成 
文章 
キャラクター 
世界観 
総合評価 
おすすめ度 

自分でもここまで高評価する小説は少ない。

世界的、歴史的名著でない作品で、それも石ころみたいに転がっていそうな作品で、だ。それくらいに心に残る名著だった。

しかし世間ではあまり評価は高くない。というわけで少し詳しく書く。



スチームパンクSFとして売りに出された本書は、2017年に翻訳、出版された。

確かにアクション系で、それでいて設定が濃くない。スチームパンクの面をかぶったバトル小説みたいな。

作者のエリザベス・ベアが女性ということもあるのだろう。あまりコアなSFを書かないようで、このブログでは逆にSFファン以外にも勧められる作品となっている。

しかしそうなれば世界観の意味がないと非難されるわけで、それは自分も思ったのだが、なにしろ自分のブログを読んでいる人ならご存じ、自分はSFの他に大の百合好きでもあるので、つまり百合要素が満載なのだ。

女同士が絡んでいれば何でも百合なのかと言われれば「その通り」と答えるほどに単純な嗜好である自分が言うので、ほかで百合SFとして紹介しているレビューを見たことがないのだが、自分は大いに百合として読んだ。面白い。面白い。語らせるな。



本書は最近読んだ中で一番面白かった。




まとめ

当然ほかにもたくさん読んでいるのだが、自分は開始30ページで読み続けるかどうかを決め、そのうち読み進めるのは4割程度である。

その中でもこれだけ、紹介すべき本が見つかったのだから、なかなか充実した読書生活を送れたといえよう。

更新遅れてごめんなさい。